キンキの刺身を つくる ・・・


 都市の 漁労の 漁場は スーパーの鮮魚部で ある 。

 浜の 漁師が 潮の 潮汐や 天候を 意識して 出漁するタイミングを 図る(はかる)ように

 都市の 漁労では スーパーに 入店する タイミングが 重要である 。

 お頭付きの 魚などは 急激に 豊漁に なる事が あるからである 。

 豊漁 、つまり コスパ ・・・ 歩掛り(ぶがかり) である 。


 都市の 漁労の タイミングは わりと 単純で ある 。

 夕飯の 調理を しっかりする客層が 引いた後 、つまり 午後 五時 を 過ぎた あたり から 値段は 下がり始め 、 コスパは 高くなり始める ・・・

 店内放送で 流れる 「 売り場の 温度チェックを してください 。」などの 業務放送が 、「 売り切るために 値段を 貼り変えろっ!」の 合図 、隠語である 。

 午後 7時以降 残っている 鮮魚たちは ほぼ 底値を ついている 。

 投げ売りでもしなければ 、この時間帯以降 入店する 堅気の客で 、魚を さばいて 料理して めし食おう ・・・などと思う者は 希少種で あるから 、明日には 生ゴミか もしくは 手間が かかって薄利になる在庫を さばくことは 難しいからだろう ・・・ 。

 そんな 漁場で 手に 入れた 魚の 話 ・・・

魚は キンキ ・・・

小さなキンキ 、¥194 × 2 匹 ・・・
こんな顔 。
目は きれいだし 、色もいい ・・・
正面から ・・・
なんだか かわいいかも ・・・
二匹目 ・・・ 
少し 表情が 違う ・・・
きっと 性格も ちょっと 違う ・・・
右目に ダメージ受けたのか 、ちょっと腫れて曇っている ・・・


使う道具 ・・・

包丁は 果物ナイフ 。
100円ショップの研ぎ器で 、刃先まで しっかり研ぐ ・・・
魚が パックされてたトレイの底にしいてある 水分の吸収材は 水洗いして 魚を 拭く(ふく)のに 使う ・・・
うろこ取り と 中骨(なかぼね)抜き用の 骨取り 。

すべて 100円ショップで 売ってたものを 少し 研いだりして使っている 。

さばいていく ・・・

鱗(うろこ)を とる ・・・
尻尾(しっぽ)の方から 頭の方へ うろこ取りで 引っかくと 取れる 。

この魚の鱗は はっきりしていて 大きめで 取りやすかった 。
内臓を 取るために 腹を 裂く ・・・
肛門の所から ・・・
ぼくは 肛門の周りを 切り取るように している 。

無造作に 肛門に包丁を入れて 胸の方に 切り裂くと 、腸の 内容物が 出て 汚れるから 。

魚の場合は 気にしなくてもいいんだろうが 、鹿なんかの 他の動物だと 肉が 汚れて 傷みやすくなるし 、刺身で 食べられなくなるから 気を付ける 。

そんな感じなんで 、魚の時も 肛門の周りを切り取って 腸の中のものを 出さないようにしている 。
喉元まで 切り開く 。
ここまで 開いた方が 内臓を 取りやすい 。

消化器官と 心臓は 他の動物と 同じように 別な部屋に あって 隔壁 ( 横隔膜 ) が ある 。

心臓は 取る必要ないといえば ないのだが 、刺身として食べられるし 、ここまで開いた方が 内臓を はずす時 、のどと 胃袋の つなぎ目が 探しやすく 、そこに 包丁を 入れやすい 。
魚の内臓は 入口と出口以外は 手で はずしていける 。

出口は 肛門 、入り口は のどと 胃袋の間 、つまり ここ 。
この包丁の刃先の部分を切ると 内臓が まるっと はずれる 。
内臓を はずしたあと 。
鰓(エラ)は 切り取らず 、よく洗っておく 。

刺身を取った後の魚体は 、刺身を置く台として使い 、その後 、あら汁のだしとして使う。

エラも 付いていた方が だしが出るだろうし ごみが減る 。

良く洗うのは 、この部分が 傷みやすいからである 。

その理由は 、エラは 繊細で 表面積が大きく 、外界の細菌が もともと付着していて 、魚の死とともに 免疫力が無くなり 、細菌が 急速に繁殖するからである 。

肉 (刺身)を はずす ・・・

頭の方から 背びれに沿って 包丁を 入れていく ・・・

背びれを 支えている骨の表面と、背骨の表面に沿って 刃を入れ 、骨から 肉を はずす 。
尾びれまで 背びれに沿って 包丁を 入れ 、そのままターンして 尻びれへ 向かう ・・・
尻びれに 沿って 内側に 包丁を 入れ 、背骨の 表面を沿って 真ん中の脊椎まで 切って おく 。

肉は 魚体から 切り離さず 、付けておく 。

ひっくりかえして 反対側を やる時 、片側の肉を はずしてしまうと 、背びれに沿って包丁を 入れる位置が ぺったりと 低くなってしまい 、包丁を 入れにくくなるので 。

反対側の 肉を はずす ・・・

反対側も 同様に 背びれに沿って 包丁を 入れる ・・・
こちら側は このまま 肉を はずす 。

肋骨の部分も 一緒に はずしてもいいが 、はずしても 切り取る部分なので 、ここで 切り離す 。

このようにすると 、魚体、あらを 刺身の台にする時 、刺身を 起きやすい 。
背骨に沿って 脊椎まで 刃を 入れる 。

できるだけ 骨に 肉を 残さないように ・・・
はい 、取れました 。
裏返して 、両側の肉も はずす ・・・

魚体を 刺身の台として 皿に のせる ・・・

水分を 吸収するもの 、最初のパックに入っていたものを 再び 水で ジャブジャブ洗い 、絞ってを 皿の 底に敷く 。
その上に 魚体を のせる ・・・

はずした肉から 骨を 抜く ・・・

切り離した肉の中に 中骨とよばれる 肋骨と 背骨の間にある骨が 埋まっているので 、指で 肉の 表面を 触りながら 探し 、骨抜き(とげぬき)で抜く 。
抜いた中骨 。

肉から 皮を はずす ・・・

尾びれの付いていた方から 少し 剥ぐ ( はぐ )。

皮を 指で押さえるため。
肉と 皮の 間に 包丁を 入れ 、切るというよりは 削ぐ(そぐ)ように 皮を はずしていく ・・・

包丁の刃の角度と 刃先を 押し付ける力を 加減して 皮が 途中で 切れないように する 。

切れても また そこから やればいい ・・・
皮が はずれた ・・・
刺身は 薄く切り 、アニサキス (細長い寄生虫) が いないか どうか 確認する 。

この寄生虫ごと 刺身を 食べると 、食後 4時間くらいで 胃の内壁を かじられて 非常に痛い思いをする 。

この虫は 、もともとは 海水の中にいるものだから 、すべての魚に いる可能性が ある 。

10匹以上いる個体もあれば 、全くいない個体もあるが 、基本的には 刺身で 食べるなら 必ず 確認するべき 。

線状の 細長い 白っぽい虫で 、渦巻き状に 丸まっていたりする 。

いる場所は 少し 赤くなっていたり 、目視で 虫も 見えるから 、薄く切って よく見る 。

厚く切ると 真ん中にいた場合 、見過ごしてしまう 。
切ったら 包丁で 全体を すくって 皿に のせた魚体に のせる 。
魚体に のせた 所 。

こうすると 、どの場所が どんな味なのか よく わかる 。

片側 だけ 使う 。
残りは こぶ締めに してみる 。

こぶ締めの方が うまい 。

肉の 半分は 昆布締め ( こぶじめ ) ・・・

普通の 干してある だし昆布の上に しばらく乗せておくと 昆布が 柔くなってくる 。
柔らかくなったら 昆布で 魚の肉を くるむ 。

食べてみる ・・・

近くに 刺身を食べたい人が いたので 出してみた 。
魚が 小さいことも あるが 、食べ始めたら 食べきるまで 45秒くらい食べ続けてた ・・・
一切れだけ 、自分で たべた 。

うまし 。
ソイや タイのような 感じだが 、ほどほどに 脂があって 上品な旨味のある感じ?・・・
魚体に盛り付けた分は すぐなくなったので 、昆布締めにしたものも 出した 。

まだ 15分くらいしか 昆布を巻いてから 経ってないが 、刺身の 水分が 昆布に 吸われ 、昆布からは 味が 刺身に 移って 、そのまま 刺身で 食べるより おいしい 。

内臓 ・・・

 内臓も 食べてみる 。
 肝臓は 特に 、肉にはない 栄養素が 豊富 。

とりあえず はずした内臓 ・・・
肝臓 、胃 、腸 という感じ ・・・

食べるのは 肝臓と 胃 。

腸は 、きれいにするのに手間がかかり 、食べる部分が とても少ないので やらない 。
ただ 、そのまま 冷蔵庫に 放置すると 、腸の間に蓄えられている脂が 液状になって 分離して出て来て 、使えそうだな ・・・ とは思う ・・・
胃と 肝臓 。
キンキの 胃は 赤い 。
胃は 切開して 中のものを 出し 、よく洗う 。

洗いやすいように 胃の出口 ( 幽門 ゆうもん ) から 縦に切る 。
一つは 胃の中は 空だったが 、もう一つの方は 、芋虫のようなものを 丸飲みしていた 。

魚の 胃袋からは いろんなものが 出てくるので 興味深い 。

魚や エビ 、イカなどは 想定できるが 、クモヒトデばかり とか 、けっこう 大きい ハマグリとか そのまま 丸のみしている魚が あり 、驚くことが ある ・・・

養殖ものの胃袋では 黄色いドロドロした液体しか 見たことが無く 、養殖の鯛なんかは 例外なく 内臓に おびただしい寄生虫が いて 内臓を 一部食い破ってたりするので 、うんざりする ・・・
胃と 肝臓に 塩をかけ 、生臭みを 取る 。
胃 、肝臓 、皮 を 湯通しして 食べてみようと 思う ・・・
腸の部分は 塩をかけて しばらく冷蔵しておくことに ・・・
塩した胃と肝臓を 一度 洗う 。
ショウガと 一緒に ゆでてみる ・・・
沸騰したお湯へ ・・・
ザルを 返して ザザッと 入れる ・・・
ひと煮立ちさせて ・・・
火を 止めて ・・・
5分 、余熱で ・・・
湯から 取り出す ・・・
大葉を 敷いて 置いてみる ・・・

後から 皮を ゆで汁ごとかけて 、ゼリーのように 固まらないか?試してみるため 。
皮を ゆでてみる ・・・
湯に 皮を 入れる ・・・
火が 通ってくると 皮が プリプリしてくる ・・・
5分ほど 弱火で 煮た 。
内臓に 皮と煮汁を 入れた ・・・

結果的に これは ゼリー状に 固まらなかった 。
汁が 多かったのかも知れない 。
具材は それぞれ 、皮は プリプリ 、肝臓は とろっと 柔らかく 、胃は コリコリして 食感としては 良かったが 、塩が 浸(し)みておらず 、塩してから もう少し 中まで 浸み込むまで 待って 湯通しするといいかも ・・・と 思えた 。

魚のあら で あら汁 ・・・

刺身の後 、残ったあらで あら汁を 作ろうと 思ったが 、血合いが 残っている ・・・
血合いを 刺身で ・・・
食べた 。
沸騰した湯に アラを 投入 ・・・
煮立ったら 弱火で 少し 煮る ・・・

眼球が 均等に 飛び出てきて その真球度に ちょっと 驚く ・・・
こんなに 精確に 真ん丸なのか ・・・
生物の 構造が 時折 非常に 幾何学的に ぴっちりしており 不思議だ ・・・
殺風景な アラ汁に 大葉を 添えた ・・・
poisson avec ooba . . .
熱いアラ汁を 食していると 、中から 背びれの 発達した 2匹の魚が 現れた ・・・

熱帯魚 か? ・・・
最終的な キンキの 遺骨 ・・・

まとめ ・・・

 都市の 漁労は 丁寧にやると エンターテインメント である 。

 今回は 役者も キンキで 晴れやかな 感じだったな ・・・


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